minadukinosuzuko’s blog

十代女子、日々のことや好きなことを綴ります

源氏物語 若紫~葵 感想

源氏物語の感想です❇️

段々源氏物語もおもしろく感じて来ました!

というのも読み始めは、現代語訳とは言っても堅い言葉使いに慣れておらず、いまいち登場人物のセリフや行動をリアルに感じて読むことができませんでした💦堅い言葉使いだからこそ、平安の頃のおごそかな感じが分かるのですが、普段現代の小説を読み慣れているといまいちピンとこなかったんです。でも段々慣れてきて、セリフや行動に親近感を持ったり、素直に笑えたりできるようになって、より一層面白くなってきました!

言葉づかいは(平安貴族らしく?)一貫して丁寧で堅いのですが、慣れてくると源氏が頭の中将と戯れ言を言ってるシーンとか、源氏がお目当てのお姫様に手紙を送っても返事が来なくて紹介した命婦に文句言ってるシーンとかで、笑えたりします😊

 

源氏物語の感想を書いていきます

 

若紫

ここで、源氏の最愛の女性と言われる紫の上の幼少の頃、若紫が出てきます。光源氏が若紫を強引に引き取る話は有名ですよね。

紫の上は容姿、性格、知性ともに理想的な女性と言われますが、若紫に出てくる小さい頃はまだまだ幼さが目立つように感じました。すずめをかごに閉じ込めて飼おうとする話は特にそういう感じですね。若紫はけっこう辛い境遇にあるようです。というのも、お父さんの側室だったお母さんを小さい頃に亡くして、お父さんの正妻だった継母から疎まれ、可哀想に思った母方の祖母である尼君に引き取られてお寺でくらしますが、お父さんはなかなか会いに来てくれないようで…若紫のお父さんは兵部卿の宮という身分の高い人のようですが、調べるとこの時代はお母さんの身分というものがとても重要だったようで、母方の家の後ろ楯が将来に関わるようだったんです。若紫のようにお母さんが亡くなってしまっていることもマイナスポイントのようで、なかなか難しい時代だったようです…。光源氏も、実母である桐壺はもともとは身分の高い姫だったものの父親が亡くなっており、後ろ楯がなかったために他の人から「卑しい身分」と蔑まれていました。光源氏自身も、お父さんは帝で皇族の血を引いていますが、お母さんの身分が低くお母さんが亡くなっているため母方の後ろ楯もなく、将来を案じたお父さんの計らいで皇族ではなく臣下に落とされてしまっていました。そういう境遇を考えると、光源氏も若紫も通ずるところがあったのかもしれませんね。

この若紫は、光源氏の初恋の人である継母の藤壺の姪にあたり、藤壺によく容姿が似ていました。これが光源氏が若紫を引き取ろうと思った理由です。藤壺光源氏の実母である桐壺によく似ていて、それが理由で光源氏の父である桐壺帝から寵愛を受けました。光源氏はほとんど覚えていない桐壺にも、自分を育ててくれた藤壺にも非常に執着している様子が分かります。面白おかしく語ることができないような、光源氏の複雑な心情が感じられます。調べている中で、光源氏はいろんな人と恋をしますが、すべて「きっと次こそは運命の人だ」と思って恋愛している、という話を聞いて、すごくピンと来ました。そう思うと、浮気がちな光源氏も心根はすごく純粋で切実な感じがします。

源氏はさっそく、保護者である尼君に若紫を引き取りたいと言うのですが、繰り返し尼君に断られてしまいます。「若紫が相応の年頃になってから」と。そりゃそうですよね、若紫はまだ幼女のような年です。

源氏と尼君の文でのやり取りも、なんだかすごいです笑。源氏は何度もお願いするのですが、尼君にのらりくらりかわされています。尼君の品性が感じられますね。

しかし、尼君が亡くなってから、お見舞いに行った源氏は若紫の乳母と話をしますが、強引に若紫を抱き抱えて、そのまま自分の家に連れ帰ってしまうんです。今だったら通報されてもおかしくないですが笑。乳母はあくまでも丁寧に引き留めますが、源氏はいさましく(?)軽やかに若紫を連れていってしまいます。源氏の勢いの強さというか、わがままな性格の出たところだなと思いました。源氏というのは、「自分の思い通りにしよう」という気持ちが強くてときに強引になってしまうように感じました。勉強も仕事もできて、センスも良く、容姿も優れていて、いろんな才能があって、人に好かれていて、身分も高い源氏だからこそそれでも許されるような感じですが…。

 

末摘花

末摘花というお姫様が登場する回です。末摘花は源氏物語の中で最も容姿の良くないお姫様として描かれています。

末摘花の容姿は良くないとされていて、その容姿に関する記述がとても多いことが目立ちました。桐壺や藤壺、夕顔や紫の上など、今まで出てきた女性たちはあまり容姿については詳しく語られていなかったと思います。しかし末摘花に関しては、「鼻が垂れ下がり先が赤い」とか「痛々しいほど痩せている」とか「衣装が若い姫君らしくない」とか…。源氏は末摘花の顔を見るなり、「お気の毒」と思って帰ってしまいます。また末摘花が短歌を詠むのが苦手な様子が描かれたり、源氏が末摘花の字を見てがっかりしたり…私が末摘花だったら、そんなに私はだめなのか…と落ち込んでしまいそうですが、調べてみると当時の女性は容姿、そして短歌を詠むセンスや楽器、習字ができることなどがとても重要なポイントだったようです。当時の貴族の男女は文でやりとりをして交際、結婚に発展していたようで、字が綺麗だったり、短歌がお上手だったり、手紙のセンスがある男女はモテたようですよ。当時のことを調べてみると面白いですね😄

一度は末摘花の容姿を見てかえってしまった源氏ですが、容姿が悪いからこそ印象に残った部分があるようで、彼女から送られてきた不器用な短歌を見て笑ってしまったり、彼女の家に贈り物をするなど、だんだんと末摘花へ愛着がわいてくるような様子が見えてほっこりしました。人よりできてない部分が、愛おしく思えてきたりすることってありますものね。源氏の、自分の心の琴線に触れた人と自由に恋愛するような性格が見えた感じがしました。

 

このお話では、源氏の正妻である葵の上が主に登場しています。

まず、源氏が参加する儀式が行われるのですが、それを葵の上が車に乗って見に行く場面があります。この儀式を一目見ようと、庶民までかけつける様子が描かれていますが、葵の上はそこで、源氏の恋人である六条の御息所と場所争いになってしまいます。結局御息所は場所を移動することになり、儀式が見えにくい位置に追いやられてしまい、このことに関しては、後から源氏も葵の上に対して「もう少し思いやりがあれば」と思い、御息所に気を遣うのですが、このときの御息所のくやしさが事細かに描かれています。

「前の東宮の御息所、伊勢斎宮の母としての誇りが打ち砕かれた」「才能も容姿もおそらく自分より劣っている左大臣の姫(葵の上)から見下された」など、ドロドロした気持ちが描かれていますね…。六条の御息所は美しく、教養もあり、身分も高い人で、人から羨ましいと思われることも多そうですが、そんな人でも嫉妬や恨みやドロドロした感情からは逃げられないのだと思いました。平安貴族って、いつも優美でおっとりしてて…というイメージが大きかったけれど、紫式部はこういう、人の弱さや嫌な部分も繊細に描いていますね。

葵の上ですが、この巻で出産の末に亡くなってしまいます。理由は六条の御息所の生霊によるものでした。車争いで恨みがつのったこともあったのでしょうか…。

 

産まれた赤ちゃんは男の子で夕霧という名前です。

夕霧がこれからどう物語に関わっていくのか、楽しみです🌸